発砲スチロールのスピーカーユニットがある。そんな馬鹿なと思うが、ほんとうにある。あのYAMAHAが1967年~1973年のわずかな6年間だけ発売していた幻のNSスピーカーだ。
発砲スチロールだよね?
「ぽんせんべい」っていわれてたんだって?
まともな音が出るとは思えないな。
とか言いながら、実際に聴いてみると「ええっ!」と腰を抜かす!
なんで???
どうして???
発砲スチロールからこんな音が出るははずがない!
ほんとにこの発砲スチロールが鳴っているのか????!!!!
どんなに否定しようが「ぽんせんべい」はもの凄い音で鳴っている。
その事実を突き付けられ、しばし呆然とした後、じわじわと驚きと称賛の気持ちに包まれる。
ユニットの存在を感じさせないまさにナチュラルな音(NSはナチュラルサウンドの略)。ユニットではなく空間の中で音が鳴っている。人間の声、弦の響きが非常に生々しいく、まるでそこで演奏しているかのような自然でライブな音だ。
さすがに低音は無理だろうとの思いもあっと言う間に裏切られる。
しっかりと締まった太い低音が空間をどんどん鳴らしている。
音に十分な厚みもある。重過ぎず軽薄でもない。
このユニットは、1956年の「エレクトーン(D-1完成)」や1966年の「エレキギター(SGシリーズ発売)」のアンプに搭載されていたものをオーディ用に転用したもので、独特の形はグランドピアノの形を真似たものらしい。
1967年11月、YAMAHAはNS(ナチュラルサウンド)スピーカ「NS-20・30」を発売し、翌年の1968年に「NSステレオシステム」を発表した。
YAMAHAは日本一の楽器メーカーであったが、エレクトーンやエレキギターで電子楽器の実績を磨き、そこで培った音響技術で、オーディオ業界へ進出したのであろう。
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| NS-20 |
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| ユニットの後ろが前を向く |
NSシリーズの基本は後面開放型だ。箱はユニットを保護する為のもので、箱がなくてもしっかりと鳴る。箱を必要としないユニットなのだ。
箱がないので音が部屋の中に伸びやかに広がる。ユニットのエッジが前後に動かないので、ユニットから音がでている感じがしない。ユニットの歪みのようなもの制約感みたいなもの圧迫感のようなものを全く感じない。ほんとうにナチュラルなサウンドだ。スピーカーというよりも楽器といったほうがしっくりくるようなサウンドだ。
しかし、世の常として良いものが売れ生き残るとは限らない。YAMAHAはわずか6年でNSスピーカーの発売を止め、コーン型スピーカーに大転換を図る。
NSスピーカーは、音質的には、その後に発売するコーンユニットに決して負けることはないし、むしろ、YAMAHAの歴史の中でも最高のスピーカーだったのではないかと思うくらいだ。
しかし、何故こんな凄いスピーカーが売れなかったのだろうか。確かに、発砲スチロールだし、見た目も不格好でコーン型に比べるととても美しいとは言えない。そしてなんといってもサイズが大きいのだ。最低でも35cm、最大70~80cmはある。わが国のウサギ小屋に置けるサイズでなかったことが最大の要因かもしれない。世界のスピーカーの主流派コーン型だ。オーディオマニアや評論家も、駆け出しのYAMAHA製品に対する評価は厳しかったのかもしれない。
今や発売から44年が過ぎ、この発砲スチロールユニットは、残り少ないことだろう。ただ材質が発砲スチロールなので経年劣化には強いと思われる。箱もそもそも必要がないので、新しく作り直せばOKだから、比較的再生可能性の高いスピーカーだと思われる。
調べているうちに、このユニットのファンが結構いることを知った。人に知られず秘かにこの高音質を堪能している隠れファン達。だから、ブログに紹介したりすると、ヤフオクの競争相手が増え値段も上がる!黙って静かにしておれ!とお叱りを受けるかもしれない。
できれば、全国的に発砲スチロールファンが増加し、YAMAHAさんも驚いて、ついうっかり発砲スチロールユニットの再生産決定!なんてことにならないものかと淡い夢を抱いているのだが。
でかい。後面開放です。
コーン型に比べると見た目の美しさでは負けます。
状態のいいものです。ハイファイ堂さんで売っています。
http://www.hifido.co.jp/KW%C2%E7%BF%DC%CB%DC%C5%B9/G0202/P0/A10/J/0-20/S0/C10-56062-88065-00/