2016年10月16日日曜日

Nutube(2) 高い内部抵抗

とりあえず、Nutubeをピッチ変換基板にはんだ付けして、ユニバ-サル基板に取り付けた。出力端子も取り付けた。

しかし、進まない。データシートに書いてある回路図がよくわからない。

まず、グリッドクリーク抵抗が10Kとあるが、これは低すぎないか。この抵抗がこの回路の入力インピーダンスになるので通常は500K~1Mあたりだ。以下の理由でグリッドには電流が流れないと思われるので、500K当たりを使うことにしようと思う。

*グリッッドに+のバイアス電圧を掛けていること、相互コンダクタンス(gm)が32μAと非常に小さいことから、グリッド電流もプレート電流もほとんど流れないのだと思う。念のために入力の1μは必要だろう。

(追記)・・・・・後で気づいたのだが、コルグの使用ガイドに、最大30μAのグリッド電流が流れると書いてあったので訂正。

バイアスが-の場合、通常は、プレートからグリッドに電流が流れ込むのだが、自己バイアスでグリッド電圧を0Vにしているので実際には電流は流れない。しかし、バイアスを+にした場合、逆にグリッドからカソードに電流が流れるということなる。それによりバイアスの電圧が揺れるのだろうか。+のバイアスなんて使ったことがないので戸惑うことばかり。

次に、アノードからVoutの途中にある10Mだが、これは負荷抵抗330Kと並列になり、負荷抵抗はこの抵抗との合成抵抗値となる。10Mと数値が十分に大きく合成抵抗値は315Kとなり330Kとそれほど変わらないが、必要なのだろうか。

ところで、Nutubeは内部抵抗が300Kと非常に高い。内部抵抗と負荷抵抗の合成抵抗値が出力インピーダンスになる。330Kと300Kを合成すると157Kだ。これは高すぎる。このままでは、パワーアンプには繋げない。なんとか下げたいが、抵抗で下げようとすれば合成抵抗値=負荷抵抗が下がり動作点が変わるので使えない。

この真空管の最大のネックは内部抵抗が大きすぎる点だ。

うーん。どうしたらいい。

インピーダンスを下げるには・・・・・ → トランスだ!

ファインメットライントランス「0615」を逆接続するとインピーダンスは25分の1になる。150Kは6Kになるので、これなら全然OKだ。

と言うわけで、トランスでインピーダンスを下げることを前提に作成することにする。

(追記)トランスは繋げるだけ且つ電源も不要なので使うのは簡単なのだが、周波数特性の良いトランスを使わないと音質が落ちる。ファインメットトランスは周波数特性も音質も申し分ないが高価なので、安く上げたい人は、トランスの代わりにオペアンプのバッファを入れればインピーダンスは劇的に下がる。コルグの使用ガイドにも後段にバッファをつけることを推奨している。

出力の33kは次段のグリッドクリーク抵抗なので、不要か。

バイアスは、簡単な自己バイアスにしたいが、フィラメント定格が0.7V、17mAなので、この回路のプレート抵抗18μAはあまりにも小さすぎて、自己バイアスを使うことはできない。12V電源から取るのも嫌なので、単独で0.7Vを供給することにする。

ただ、17mAは、0.7Vをフィラメント(抵抗)に掛ければ、消費される電流なので、明確に17mAを定電流で与える必要はないと思うのだが、どうなんだろう。

とりあえずやってみるしかない。

超シンプル!でも真空管の初段ってそんなものだし、





こちらもデータシートとHPに載っている回路。電源を全てVCCから取っているのと、ボリューム回路が付いているので、結局、上記の回路図でやってみることにする。



6 件のコメント:

  1. 今月号の無線と実験にこの素子を使ったヘッドフォンアンプ制作記事が載りました。参考になるかも...

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  2. 今日買ってきました。プリのみではなく、出力段もあるプリメインでした。

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  3. この素子が出力段に不向きだからだと思います。何個もパラにしても1個18μAだから無理があるのではと思います。

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  4. そもそも真空管は電流が小さいので出力には不向きですね。しかし、プリとしてもこれだけ出力インピーダンスが高いと普通には使えません。2段にしてカソードフォロアにするしかないでしょう。

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  5. アンプ回路設計者2016年10月17日 18:22

    はじめまして。
    良く覗かしてもらっております。
    アンプや電源設計を本職としておる者です。

    トランスによるNutubeの出力、楽しみにしております。
    自分も小型ラインアンプを計画しておりまして結果にきていしております。
    おそらくそのトランスでは巻数比のインピーダンス換算はその通りと思いますが、
    インダクタンス不足により低域がでないのでは?と思います。
    が、やってみると意外に良い事もあるので楽しみにしております。
    失礼します。

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    1. プロの方に書き込みをいただきお恥ずかしい限りですが、こうしたご意見をいただけると非常にありがたいです。
      このファインメットライントランス「TTL0615」はとても周波数特性がよく低域も良く出ます。TVCの中にも使っています。ということで私も期待しているのですが、やってみるしかありません。ご期待ください!

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