いやはや、これほど固い岩盤のような音を聴いたのは初めてだ。
「Audiomachina CRM」の音は虚仮威しではなかった。
CRMは、射撃競技用の超高級拳銃を製作する精密金属NC切削加工職人が作る、完全密封型、アルミ削出、アルミ塊のブックシェルフ型のSPで、その小さな箱からは容赦のないゴツイ低音が出てくる。噂以上の衝撃的な音だ。重量も12KGはあり相当重い。
この小さなモンスターを鳴らすのは、パワーアンプが「AYRE VX-R」、プリが「マランツ#7」。
さて、この恐るべき超高級機器群に単身立ち向かったのは、我が「FN1242デュアルモノDSD-DAC」だ。結果は如何!!
●まずは、このシステムでPCMを聴く。
部屋は狭く、SPは横一杯に離されて設置、高さも低い。
ここで聴くPCMの音は、超高級機器の名にかけて正に最上級の音だ。
ただし、音場は、横に広く縦に低い。
高音、中音、低音がSPの高さから下の空間に押し込められたように出てくる。
また、PCM特有の強調された音が耳にきつい。
●次に、「FN1242デュアルモノDSD-DAC」でDSDネイティブを聴く。
一瞬にして場の雰囲気が変わった。
ゴテゴテの化粧を落とした超絶美人のように、それは突然現れた。
纏わりついていた余計なものがすべて取り払われ、純粋な音だけがそこに存在する。
音場が一気に天井まで広がる。
上下に加え前後の空間感まではっきりと感じられる。
音の密度が高く、一音一音が非常にクリアに聴こえる。
刺々しかった低音のゴツゴツ感は、より一層クリアなゴツゴツに変わりとても心地よい。
音量を上げても全く破綻するところがなく、自然で優しい音が拡大する。
音に包まれる感じで、引き込まれてしまう。
このまま何時間聴き続けても決して疲れることはないだろう。
PCMとは全く異質の音だ。
こんな音の世界があったのかという驚き。
この音を聴いてしまったら、誰もが二度とPCMに戻りたくなくなる、それほど極上の音だった。
この部屋の主人は、これは拷問だという。
この極上の音を聴いた後に、またあのPCMを聴かなければならないなんて、あんまりだと。