2020年6月15日月曜日

PCオーディオの基本-1.USB伝送

PCオーディオは、PCからUSB伝送によって楽曲データがDACに伝送されます。

今から10年ほど前に、これまでのPC側が全てを制御するアダプティブ方式から、ターゲット側(DDC等)がPCを制御するアイソクロナス方式のアシンクロナスモードが開発され、ジッターを排除し、クロックにターゲット側の高精度の水晶発振器を使うことが出来るようになったことで、USB伝送がようやくオーディオ用として認められるようになったことが画期的でした。


以下は「2010年11月11日木曜日」の当ブログの記事です。参考までに再掲しておきます。
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USB転送方式ってなんだ?

昨今は、マザーボード付属のオンボードサウンドやPCIスロットに差し込むサウンドボードではなく、USBからの音声出力が主流になっている。そして、その転送方式が話題に上るが、よくわからないのでまとめてみた。


●USBの転送方式
USBでは、PCを「ホスト(親機)」、DAC等のデバイスを「ターゲーット(子機)」と呼ぶ。USBの通信は、ホストがターゲットにポーリング(問い合わせ)を投げて、ターゲットがこれに答える形で行われる(半二重転送)。

その際、ターゲット側に「エンドポイント」というFIFOバッファメモリを用意し、ターゲット側のUSBコントローラーが、エンドポイントを通して、ホスト側からのポーリングや応答処理に対応するようになっている。

USBのホストとターゲット間のデータ転送は、基本的にこのエンドポイントを使ったホストとターゲット間のやり取りだけ。すべての通信はホストが制御しており、ターゲット側が勝手に通信を開始することはできない。

●4つの転送方式
USB転送方式には4種類がある。
①コントロール転送
②バルク転送
③インタラプト転送
④アイソクロナス転送

*Audio Device Document 1.0
http://www.usb.org/developers/devclass_docs/

◆①コントロール転送
コントロール転送は、ホットプラグ等の再コンフィグレーションに必要な情報のやりとりなど、デバイスの制御用に使われる転送方式。デバイスの接続時にデバイスを認識するために使用されるので、全てのUSBデバイスがサポートしなければならない。

◆②バルク転送
バルク転送は、リアルタイム性は重要でないが精度が重要となるプリンタ、スキャナ、大容量ストレージなどのアプリケーション向けの転送方式。時間の制約がない大量データを正確に伝えるのに適した非同期の転送方式。他の転送方式の空き時間をすべて使用でき、高信頼性のデータ転送が可能だが、タイムシェアリングの優先度が低く遅延が発生する。プリンタスキャナ、デジカメ、フラッシュメモリー、有線LAN、無線LAN等の画像入出力、ストレージ、ネットワーク系で使用される。データに誤りがあった場合やFIFOに空きがない場合は、再送される。

◆③インタラプト転送
インタラプト転送は、ホストまたはデバイスから定期的にデータを送る必要があるマウス、キーボード、ゲーム・パッドなどのデバイス向けの転送方式。少量のデータの転送に用いられる転送方式。ただし、インタラプトと言っても、デバイス側から自発的に転送が行われるのではなく、ホスト側からのポーリングで転送が行われる。
*REMのFireFaceUCでは、Windows用にこのインタラプト方式が使われている。RMEによる検証の中で、この方式がもっとも良かったとのことである。
●FireFaceUC USBテクノロジー
http://www.synthax.jp/usb-implementation.html
◆④アイソクロナス転送
アイソクロナス転送は、リアルタイム性重視の転送方式。一定時間あたりの最低データ転送量が保証されるので、データが途切れることなく転送される。動画や音声データのようなリアルタイム性を必要とするデータ転送に適している。ただし転送に失敗しても再送は行われない。「アイソクロナス」とは「同時性」「等時性」などといった意味である。
アイソクロナス転送は、さらに、クロックの使い方の違いで「シンクロナスモード」「アダプティブモード」と「アシンクロナスモード」に分類される。
*音声転送には、ほとんどこの方式が使われる。

④-1 同期モード
同期モードは、デバイス側がSOFと同期したクロックでサンプリングする。
④-2 アダプティブモード
ほとんどのUSB音楽転送に使われている方式。この方式では、PC側はデバイス側に向けて、常に同じ速度で決まった量の音楽データを送り続け、デバイス側はこれを受けるしかなく、再生に必要なクロックもPC側のクロックにデバイス側のPLL回路が周波数を変動させて合わせる必要に迫られる。この方式では、デバイス側が固定のクロックを使用することはできず、デバイス側の水晶発振器が大きくジッターを発生させることが問題になっている。
④-3 アシンクロナスモード
アダプティブ方式が、PC側が一方的にデータを転送してくるのに対し、アシンクロナス方式は、「フィードバック」と呼ばれる逆方向のエンドポイントを別途用意し、PC側にデータの増減をコントロールする返答を返すことで、デバイス側のエンドポイントが常に一定のデータ量に保たれるように制御する方式。これにより、PC側のクロックを使わず、デバイス側の固定クロックを使うことが可能となり、水晶発振器が発するジッターを少なく抑えることが可能となった。

ただし、制御プログラムの開発が難しく、ほとんど使われない方式だったが、元バーブラウンの技術者であるWavelength社社長のJ.Gordon Rankin氏がこの方式に注目しプログラムの開発に成功した。AyreはGordon氏とライセンス契約を交わしGordon氏のプログラムを使っている。ラトックやフェーズテックは独自開発。
●USBタイムシェアの優先順位
(優先順位が高いほど他に優先して転送ができる)
1 アイソクロナス転送
2 インタラプト転送
3 バルク転送、コントロール転送

●USBの規格と転送速度
USB1.1(ロースピード) 1.5Mbps
USB1.1(フルスピード) 12Mbps 標準ドライバー、24bit/96kHz
USB2.0(ハイスピード) 480Mbps 独自ドライバー、24bit/192kHz
USB3.0(スーパースピード)5Gbps

現在のオーディオ用の主流は、USB1.1(フルスピード)。独自に開発しなくても、USBインターフェースチップとOS標準のUSBドライバーで対応できるので、USB技術がないメーカーでも採用できる。ただし、24bit/96kHzまでしか転送できない。

しかし、最近は、意欲的で先端的なメーカーが、独自ドライバーを開発してUSB2.0に対応し、24bit/192kHzの転送を実現している。

2020年6月10日水曜日

オーディオ用PCの製作

オーディオ用PCについて、これまでミニPCやバッテリー駆動のラテパンダなどを使ってきましたが、音質的にはやはりたっぷりの力強い電源が重要との認識にいたり、今は自作オーディオ用PCが良いと思っています。 うちでは驚くほどの音質向上効果がありました。

ストレージ
楽曲はNASを使うので、消費電量の大きい5インチ内蔵HDDは使わないことにし「NVMeSDD」を使うことにします。NVMeSDDは、超高速、省電力で直接マザーボードのPCIe端子に挿し込むのでSATAケーブルの影響も排除できます。

WD BLUE SN550 NVMeSSD 250GB


CPU、メモリ
マザーボードに合わせて選びます。このあたりよく気を付けないと失敗します(失敗しました)。

メモリ DDR-2400 16GB(手元にあったものを使用)
CPU INTEL Corei3-8100 3.6GHz



マザーボード
NVMeSDDM2スロットのあるもの、LANポートが2ポートあるものを選びます。マザーボードのサイズは、大きなATXではなく、小さなITXを使います。

 ASROCKの「Z390M-ITX/ac」を選びました。チップセットはIntelZ390、CPUはIntelCorei第8、9世代(ソケット1511)、メモリはDDR4、M2スロットあり。




・オンボードLAN2ポート
          Intel 1211 Gigabit Network Connction
                              Intel Ethernet Connection I219-V

OS  Windows10 Pro


電源
重要な電源は「picoPSU-160-XTハイパワー24ピンミニITX電源」を使います。これをマザーボードの電源スロットに挿し、DC12Vを外部から供給します。


DCアダプター
DC12Vは、ノートPCV用アダプター(12V、5~6A程度、スイッチング電源)を使います。2A程度ではダメです。5~6A程度のものを探しましょう。当方の検証ではリニア原電よりも伸びやかで力強い音です。



ケース
TX用のケースに収めてください。


パネル面です。


2020年6月8日月曜日

コロナ版Diretta

コロナ版Direttaが6月末まで無料で使えることを聞き、早速試してみました。試させていただけることに感謝申し上げます。

Direttaでの再生

以下のサイトから必要なものをダウンロードします
https://www.diretta.link/download/0.86/

WindowsPCで、PC1とPC2を用意します。
PC1とPC2のLAN接続はIPV6直結です。
楽曲はNASにあり、IPV6直結です。

PC2
USBメモリにブートイメージ「diretta_usb_bridge_x64_limited_86.img」を書き込み、PC2に挿し込み、USBメモリから起動します。


PC1
PC1(HOST)にDirettaASIOdriverをインストールしておきます。
HQplayerのSettingsで「ASIO」「ASIODiretta」を選びます。


これで、HQplayerで再生します。


HQplayer+NAAでの再生




PC1とPC2のLAN接続はIPV6直結です。
楽曲はNASにあり、IPV6直結です。

HQplayer+NAAでのSettingsは以下の通りとなります。


HQplayerで再生します。


比較
上記の通り、ハードウエアは全く同じ環境で、ケーブル、接続もNASとはIPV6直結。TargerPC、NAAPCともIPV6直結です。再生はどちらもHQplayerです。
以上、ハードソフト共にほぼ同じ環境での比較です。

(*あくまでも当方のシステム環境と私個人の感想です。)

Direttaの音は、元気な音ですが、音に角がありややノイジーな感じです。音場、定位もやや劣る感じです。というかシングルPleyerで再生している感じに似ています。

一方、HQplayer+NAAの音ですが、音場、定位、静けさが際立っていて、そのうえ音の一粒一粒が美しく輝いています。あらゆる音がリアルで本物に聴こえます。HQplayer+NAAの方が自然できつさもなく音楽性も素晴らしく感じます。他の追随を許さない感じです。この違いは一聴して分かります。

なお、これはあくまでも当方のシステム環境と私個人の感想なので、他のシステムでの違いや別の感想もあると思います。

是非、皆様も試してみてください。



2020年6月4日木曜日

仕事を再開しました!


明日出荷予定分です。LANケーブル5本、SPDIFケーブル2本、USBケーブル2本です。


2か月ぶりにHQplayer+NAA+NAS LAN直結(IPV6) の音を聴きました。改めて音場感の凄さを感じています。こんな音場は聴いたことがありません。

NAAを使わないシングルプレーヤーで再生の場合でもNASはIPV6直結が素晴らしいです。

是非ともゴア線LASNケーブルを使ってみてください。

お申込みはこちら
http://www.asoyajiaudio.jp/

2020年6月3日水曜日

ブログを再開します!

ご心配をおかけしましたが、先月末に無事退院できました。2か月に渡ってブログ及びホームページの更新ができす、ご迷惑をお掛けしました。

多くの方々からお見舞い、励ましのメールをいただき本当に元気づけられました。メールをいただいた皆様に心より感謝申し上げます。

ケーブルにつきましては、本日より製造を再開します。

これまでお待ちだいていたお客様には本当に遅くなり申し訳ありませんでした。不足の材料を至急調達の上、急ぎ送付したいと考えております。

まだまだコロナで大変な世の中ですが、当方のケーブル、オーディオ機器で音楽をお楽しみください。

これからもどうぞよろしくお願いします。


ASOYAJI

2020年5月12日火曜日

ブログ再開の予定

ブログを見ていただいている皆様、長らく更新もせず本当に申し訳ありません。

いつも見ていただいている皆様にはご迷惑をお掛けしています。また、 ブログやホームページも更新できず、コメントにも返事ができず、本当に申し訳ありません。

実は、私、健康上の理由で(コロナではありません)、4月の頭から入院しており、5月末に退院の予定です。

手術も成功しようやく元気が戻ってきました。

ですが、コロナの影響で、病院は大変です

コロナでない普通の入院患者も、面会禁止、外出禁止、一時帰宅禁止、と一歩も外に出られません。

完全な囚人状態でどんなに抗議しても、あなたがコロナを持ち込んだらこの病棟が閉鎖になる、その損害は甚大だ、嫌なら退院していただくしかありません、とほぼ脅しのような反論にあい、泣く泣く受け入れざるを得ません。

本当に一歩も外に出れないのです。

また、コロナ病棟に専門家が取られて一般の手術ができなくなり、患者さんたちが、本当に困っています。

でも、仕方ないです。本当に院内感染が起きたら、大変どころではありません。命に係わります。

病院で働く方々は、日々感染の恐怖の中で仕事をされています。

患者も協力しないと申し訳ないと日々感じております。

5月末には退院する予定です。どうかこれからもよろしくお願いします。


追記
ゴア線USBケーブル60cmは在庫があるので、いつでも発送出来ます。それ以外は、退院後の対応策となります。どうかよろしくお願いします。


病院より

2020年4月4日土曜日

差動と平衡

さて、オーディオには、信号に「差動とシングルエンド」、信号の伝送方式に「平衡(バランス)とアンバランス」があります。

アナログ音声信号は通常+信号(シングルエンド)です。差動信号は、+信号と+信号を上下に反転させた-信号の2つの信号からなります。

バランスとアンバランスは、信号の伝送方式の事で、差動信号の+と-を伝送する方式をバランス伝送と言います。アンバランス伝送は、+信号(シングルエンド)のみを伝送します。

バランス伝送は、+信号と-信号の差動信号を送るので外部からノイズが侵入してきても、信号が+と-の上下に分かれているので、ノイズが+と-で相殺され消えてしまいます。長くケーブルを引き回すプロの現場で使われるプロ用機材に使われています。

一方、コンシューマー用オーディオ機器においては、せいぜい1~2m程度の引き回しであればほぼノイズの侵入がないのでシングルエンドで十分です。

よくバランスの方が良い音がすると聞きますが、-信号は、+信号をICで反転させたもので、上下が逆なだけで全く同じ信号であり、全く同じ音でバランスの方が音が良いということはありません。

それでも音が違うというのであれば、それは試聴しているバランスケーブルとアンバランスケーブルに起因する音質の違いと言わざるを得ません。

また、バランス伝送を入力できるアンプについても、一般的なアンプはほぼシングルエンドアンプです。バランスで伝送しても入力端子で-信号をGNDに落としていて、そこから先はシングルエンドなのです。差動アンプであれば、バランス伝送された差動信号はそのまま+と-で増幅されます。こうしたアンプの違いも音質の違いとなります。