2011年6月12日日曜日

ALIX3D2 の電源を自作!(4)

電源をもう一台作った。2号機だ。今回は、三端子レギュレーターにLM350(3A)を使った安定化電源だ。最大20Vまでとした。1号機では発熱対策で苦労したので、今回は、ヒートシンクを使わなくてもいいように、三端子レギュレーターを底板に直付けした。そのせいか、温度は29度(室温28度)と驚くほど低温でほとんど発熱していない。これはいい!!ケースも一回り小さいものにした。

下は1号機と2号機です。


うーん。2号機いいです。ケースもコンパクトだし、なにより発熱がほとんどない。1号機の定電圧基盤は、ヤフオクで買った「LM2596S-ADJ スイッチングレギュレーター電源基板 1.5~26V 2A」。ナショナルセミコンダクターのLM2596S-ADJを使った基盤で、ピーク2Aまで可能だ。2号機は、秋月電子の「大容量出力可変安定化電源キット LM350T使用 最大3A」だ。LM350の方が発熱が少ないのだろうか。回路はほとんどチップのデータシートどおり。

前者は基盤が組んであったが、後者はパーツが入っていて自分ではんだ付けしなければならなかった。はんだ付け後、予想通り、可変抵抗が全く効かず、壊したか!と思ったが、S氏に見てもらうと問題は即解決。基盤の抵抗がグランドに落ちていなかったのだ。基盤の設計がそうなっており、自分でリード線でグランドに落とす必要があったのだ。しかし説明書には何も書いていない。よく見ると詳しい説明は省きますと書いてある。そんなものなのだ。自作の道は険しい(泣笑)。

トランスを使ったリニア電源は、非常に構造が簡単だ。ACをトランスに入れ18Vに降圧し、ブリッジダイオードで全波整流しDCに、電解コンデンサで平滑、ボリューム付き三端子レギュレータで出力を調整する。これだけだ。

今回は、初めての自作で苦労したが勉強にもなった。1号機の三端子の発熱で、熱対策の重要性を実感した。他にもいろいろあるが、実効値とピークについてもその重要性を実感した。

交流を整流・平滑すると交流のピーク値が直流の電圧となる。このところをよく認識しておかないと、出力電圧の計算が狂い電圧降下を大きくせざるを得なくなり発熱で苦しむ。

RSコンポーネンツのトランスはさらに115V入力なので、100V入力の場合は出力が100/115=0.87となってしまうので注意が必要だ。

例えば使用したトランスは115V -> 18V出力。これは実効値で、ピークは、18V×1.41×0.87=22V となる。これを三端子レギュレーターで18Vに落として使う。ALIXの消費電力は6W。18Vで電流は0.33A。4Vの降圧で損失電力は4V×0.33A=1.32Wとなる。このくらいなら発熱はほとんどなかった。10V降圧で100度近くになったことを考えるとこのあたりの匙加減は非常に重要だ。

それと、三端子レギュレーターの仕組みが面白かった。出力とグランドの間に抵抗Rと可変抵抗VRを入れて、その間に三端子のADJを繋ぐと、RとVRの値で出力電圧が決まる。その関係は、

出力V=1.25×(1+VR/R)

例えば、最大20V出力とすると、20V=1.25×(1+VR/R)

->  VR=15R

の関係が成り立つ。1kΩの抵抗Rを使うなら可変抵抗VRは15kΩとなる。R67ΩならVR1kΩだ。これで、ボリュームのつまみを回すと1.25V~20Vまで出力電圧を変化させることができる。

消費電力については、トランスは2.22AまでOK、三端子レギュレーターも3AまでOKなので、最大20V,2Aで40WあたりまでOKだが、実際には18V,0.33Aの6Wで使用しているので余裕だ。

簡単な回路で非常に安く電源ができてしまう。これはやめられなくなった。トランスが2千円、三端子基盤が500円、ブリッジダイオード、スイッチ、LED、抵抗、ヒューズ、ACインレット他で1千円、ケース1千円で、合計4,500円程度だ。

これでALIXの音が激変した。やっぱり電源はオーディオの基本だ。


自作の感想

第一に、部品の購入が難しいかった。例えば、抵抗XXΩといっても1/2W、1/4W、1W、5W 10Wとある。どの部分にどのくらいのものが必要なのかを事前に考えておかないと買うことができない。1号機でセメント抵抗を使う意味が初めて分かった。使ったセメント抵抗は5Wだったがそれでも70度ほど発熱したので10Wにした方が良かったのかもしれない。

第二に、はんだ付けが難しかった。例えば、トランスの出力側の線がエナメルで被覆してあり全くはんだが付かない。これはカッターでエナメルを削り落とさなければならないのだった。また、はんだ小手の加減が分らず長時間かかって団子になったり焼け焦げたりした。これはもう少し練習と慣れが必要だ(痛感)。電源だから特にきれいなはんだ付けが重要!!

第三に、やっぱり道具が大事ということだ。はんだ付けの際に、部品が動いて2本の手ではどうにもならず上手くはんだ付けができないことが度々あった。S氏が使っている部品を固定する万力のような道具を使うと、安定して非常に奇麗にはんだ付けができる。必需品と感じた。

ケースの加工で、どこに穴を空けるか線を引くとき、金属の定規が役に立つ。また、金属には鉛筆など線を引けないが紙テープを張ると奇麗に引ける。これも必需品だ。

実際の加工も、電気ドリルとリーマーは持ってるので、薄いアルミの箱ぐらいなら何とかなる。しかし、厚めの金属板に穴を空けたりネジ穴を掘ったりするのは、手動では傾いたり曲がったりで無理がある。やはりドリルを固定する器具が必要だ。ただし高価だし置き場所も困る。

いやはや兎に角いろいろ失敗したが、本当に勉強になった。この調子で、今度はパワーアンプも作れそうな気がしてきた。

パワーアンプも基本は電源部にアンプ基盤を付けるだけ。今時のアンプは簡単なんだなぁ。アンプ基盤もオペアンプの周りにデータシートどおりに幾つかの抵抗やコンデンサをはんだ付けするだけの簡単なもの。LM3886の基盤はいろいろあるのでこれを使えばお手軽だ。ただし、パラル(基盤を左右CH毎に複数つなげる)場合は、全ての抵抗の値を厳密に揃える必要があるのでこれがちょっと大変かな。

思い切って、LM3886/4パラのパワーアンプを作ってみようかな。(師匠S氏からまだまだ早い!とダメだしされそうだけど(笑))。 結局、後始末はS氏が・・・・・・。

3 件のコメント:

  1. たびたび失礼します。juubeeです。

    電源作成、ご熱心ですね。
    ALIX3D2を持っていないのでよくわからないところも多いのですが、気がついた点だけ述べさせていただきます。ただ、申し訳ないのですが、仮に信用いただいて試された場合でも何の保障もできないので、そこんとこよろしくお願いします。

    ●入力電圧は7Vで十分かも
    7~20Vとなっていますね。マニュアル中のALIX block diagramを見ると、内部のDC/DCコンバーターで、5V 3.3V 1.25V を生成しているようですし、他の電圧を見ても5Vを超えるものはないようなので、入力は7Vあれば十分で、それ以上は熱エネルギーに変わるだけのように思えます。http://www.pcengines.ch/pdf/alix2.pdf

    ●定電圧化は不必要かも
    どうせALIX3D2内部で定電圧化するのでしょうから、(電圧のmin-maxが範囲に入る必要はあるでしょうが)わざわざ外部で定電圧化しなくても良さそうです。なぜこんなこと言うかというと、通常の3端子レギュレーターは音質的にあまり良くないと思うので、できれば外した方が良いと思うからです(ALIX3D2の中に入っているものは仕方ないとして)。このトランスの電圧は高いので厳しそうですが・・。

    そうなればもっと小さいトランスで良さそうで、せっかく購入したというのに、こんなこと言ってすみません。なんならお知り合いにお伺いを立ててみてください。

    返信削除
  2. juubeeさん
    ご指摘いただきありがとうございます。他にも何人かの方からALIXは内部にDC-DCコンバーターを持っているから外部三端子は不要ではないかと指摘されました。初めて電源を作ったのですが、随分見当はずれのものを作ったんですね。

    トランスは、12V出力ぐらいにすればよかっと思います。大は小を兼ねるだろうと思ったのですが、必要以上の電圧は熱に変わことを身に染みて実感しました。電源は適切な容量で設計することが必要ですね。

    もう少し小さなトランスに変えて、三端子も外してみます。jubeeさん。いろいろ教えていただきありがとうございました。電源は、もう少し勉強が必要のようです。

    返信削除
  3. asoyajiさん

    >随分見当はずれのものを作ったんですね。
    いや、その後先みない一途さが素晴らしいんですよ!!
    (電源ですから、安全にだけはよ~く注意する必要がありますが)

    ただ、これで劇的に変わるものでもないと思うので、ぼちぼちでいいように思います。

    返信削除