2018年6月28日木曜日

現在の我が家の上流

さて、先日、PCオーディオの高音質化とノイズ対策について書いたが、現在の我がシステムについて具体的に書いておこう。

構成は、レンダラー、メディアサーバー、コントロールポイントとシンプル。ノイズ源であるハブを使わず無線ルーターで3機器を繋いでいる。

PCやネットワークはとっつきにくく難解な部分も多い。メディアサーバーとレンダラーを一つにしてしまえばよりシンプルだろう。Fidataなどは正にそれだ。

ただし、レンダラーに負荷をを掛けないことが高音質の要因の一つなので、この構成が最低限かと思う。

徹底的に搾り上げたWindows10のレンダラーが低ノイズ、高音質化への鍵であるが、ノイズレベルが低くなると逆にノイズに敏感になるので、各機器のノイズ対策が必須となる。簡単には、電源をバッテリーにし、USBケーブル、LANケーブルはシールドを繋がない、である。
1.レンダラー
LatePanda+Windows10+JPLAY
PCは文句なくLattePandaだ。Windows10が稼働するバッテリ駆動のミニPCは現在これしかない。

OSはWindows10だ。もちろん不要なプログラムはアンインストール、不要な機能を停止し、OSレベルのサービスも可能な限り停止している。サービスの停止方法はネットでもいろいろ書かれているのでそれを参考にして欲しい。やり過ぎたり間違うとWindowsの再インストールとなるので注意。

レンダラーソフトは、Foobar2000とJPLAYシングルを聴き比べるも、甲乙つけがたしだが、JPLAYの方がより透明性を感じる。JPLAYはデュアルにしなくてもシングルで十分。

2.メディアサーバー
メディアサーバーはQNAPだ。電源は12V,5.417Aでとてもリニアでは作れないので、そのまま付属のACアダプターを使っている。ハブを使うと、微かなジーノイズが聴こえるが、無線ルータで飛ばすことで完全にノイズカットできる。音の方はメリハリのある力強い音が伝送されるので問題なし。メディアサーバーソフトは、MinimServerだ。

3.コントロールポイント
iPadでルーターモード親機に接続する。ソフトは、Foobar2000ならAudioNet iMMだが、JPLAYなら慣れ親しんだkinskyだ。


4.ルーター
ミニ無線ルーターで十分。というか、バッテリー駆動なのでノイズがない。これを2つ使って1つはQNAPに繋ぎルーターモード(親)にする。もう一つはレンダラーPCに繋ぎ子機モードにする。WPSボタンで簡単に接続する。ただし、使っているうちに結構熱が出るので小さな突起状の足を切ってお腹の部分をヒートシンクに張り付けている。

5.USBケーブル
自作USBケーブル。ゴア線を使い、信号線と電源線を分離、シールドは端子金属部には接続してない。驚くほど高音質になる。自分ではアコリバを超えたと思う。

6、LANケーブル
これも自作LANケーブル。USBケーブル同様、シールドは、端子とは接続していない。端子はテレガートナー製。

7.電源
電源は、Lattepanda、無線ルーター、DACにモバイルバッテリーを使っている。バッテリー駆動だと、SNが上がりノイズフロアがぐっと下がる。音の見通しが良くなりこれまで聴こえなかった音が浮き出してくる。





PCオーディオの高音質化とノイズ対策

PCオーディオはノイズとの戦いであり、ノイズ取り除く事こそが高音質化への道である。
ノイズを一つ一つ取り除いていけば、完全な静けさと歪の無い透き通った力強い音が待っている。今回は、PCオーディオの高音質化とノイズ対策についてまとめてみた。

PC
PCはそもそも汎用コンピューターなので、世の流れとともに様々な機能が追加されどんどん肥大化していく。しかし、音楽再生だけを考えると、PCに搭載された多くの機能はほとんど使われておらずむしろ邪魔だ。

ハードもソフトも最低限必要なものだけに絞ることで、高音質化が図られノイズレベルも驚くほど下がる。現時点でこれを満たす最高のミニPCは、Pilewebでベルウッドさんが書いておられるLATTEPANDAだ。

CPU:オンボードのATOM(クアッドコア1.8GHz,Z8350TOM)で十分。音楽再生だけであればCPUの数パーセントしか使っていない。

メモリ:オンボードの2GB(DDR3L)で十分。音楽再生だけであれば500M程度しか使っていない。

ストレージ:オンボードの32GB(EMM)で十分。Windows10が問題なくインストールできる。

LAN、USB、HDMI:オンボードで十分。PCIなどのスロットがなければ基板も小さく済み省電力。

電源:バッテリー駆動5V2A。バッテリー駆動でノイズレベルが大きく低減し高音質となる。

OS:Windows10。他のOSやWindowsより音が良い。重要なポイントは、Windows10の音楽再生に不要なプログラムや機能を全てアンインストール、削除、停止させた後、更に、タスクマネージャーのサービス管理ツールでOSレベルでの不要なプロセス、サービスを一つ一つ丁寧に停止していく。

タスクマネージャーのパフォーマンスのプロセス数を見ると、わが家の通常使用のPCでは180もあるが、音楽専用のミニPCを使い20台まで落とす。ここまでくるとその効果は絶大だ。全く音質が変わる。

USBケーブル
USBケーブルは、PCに繋ぐケーブルなのでノイズの多いPC側のノイズを拾ってDAC側に伝えてしまう。このノイズで音質が劣化する。

そのため高価な銅線を使ったり、堅牢なシールドをしたり、電源線と信号線を分けたり、様々な工夫されてきたが、本当に重要なポイントは、シールドを金属の両端子に結線しないこと、シールドをGNDに結線しないことである。
アコリバ二股をも凌ぐ自作USBケーブル
これによりPC側のノイズがDAC側に伝わらなくなりノイズが遮断される。高価なケーブルであってもシールドが切断されていないケーブルがあるので注意が必要だ。

私自身、音質が良いと感じて長く使ってきた「アコリバ二股ケーブル」は、シールド線は金属の両端子に接続されていなかった。これがこのケーブルの高音質の秘密なのだろう。

テスターで両端の金属部分の導通を計測するだけで簡単にわかるので是非やってみて欲しい。

ハブ(スイッチ)
これもノイズが多い機器だ。LANは、エラー訂正機能があり、多少のノイズがあっても何の問題もなく伝送が行われるので、通常の通信では問題にならないが、音楽をストリーミングする時はそうはいかない。ノイズがそのまま音質を落とす。最近ようやく対策が必要との認識も定着してきたようだ。

日本テレガートナーの「M12 Switch Gold」は、音楽用の最高のスイッチであり、これが使えれば問題は解決するが、高価なので誰もが使えるわけではない。

しかし、安価なハブ(スイッチ)には、下写真のスイッチング電源が使われている。内蔵されているタイプと、ACアダプター(スイッチング電源)を使うタイプがあるが、どちらも音質に大きな影響を及ぼす。アライドテレシスあたりでもスイッチング電源を使っていた。

大抵の5ポートハブ(スイッチ)は5Vもしくは3.3Vで駆動するので、スイッチグ電源を取り外し、モバイルバッテリーをそのままもしくは3.3Vに降圧して基板に接続してやれば簡単に電源ノイズのない高音質ハブが出来上がる。また、5VのACアダプタータイプなら、変換ジャックを使えば、モバイルバッテリーを使うことができるのでお手軽だ。トランスを使ったリニア電源を使うものあるがこの方が遥かに簡単で高音質だ。

しかし、電源ノイズを改善しても、接続する機器から侵入するノイズまでは防ぎきれない。

ではどうするか。

ハブの代わりに無線を使うのである。ハブを使わず無線ルーターを使い無線で飛ばすことで、機器から侵入するノイズは完全に遮断される。この方法もベルウッドさんが書いておられる。
無線ルーター

わが家のQNAPはハブに繋ぐと微かなジーノイズがスピーカから聴こえるが、無線を使うと完全に無音になる。この無音はほんとうに気持ちが良い。

LANケーブル
LANケーブルもUSBケーブと同様、シールドを両端子に繋がないケーブルを使うことが重要だ。市販品だと端子が金属でないカテゴリー5,6のもの。カテゴリー7は両端子に金属を使っておりシールド線が結線されているので使ってはいけない。

NAS
楽曲データを保存するには、やはりNASが便利だ。PC内臓ストレージもあるが、上述のとおりPCの負担を軽くするためには使わない。

メディアサーバーとして、NASではなく、ミニPC+USB-HDD(バスパワー)もあるが、QNAPと比べると、圧倒的にQNAPの方が音が良い。力強くメリハリのある音になる。これはMINIPCはバッテリー駆動なので、USB-HDDに十分な電流を供給できないことが原因かと思われる。

電源
わが家では、上記の右図で、ルーター、レンダラー(ミニPC)、DACをモバイルバッテリーで駆動している。

モバイルバッテリーを懐疑的な見方をしている方も多いと思うが、驚くほど静かでノイズ感は全く感じない。ノイズフロアが下がり、音の見通しがよくなり、全ての音が見えてくる感じだ。

ただし、ノイズには非常に敏感で、どこかでノイズがあると音が濁ったり歪んだりするのを感じるが、原因も追究しやすい。上記の対策をやれば、ほぼ完ぺきなノーノイズ、高音質環境を手に入れることができるのでやってみて欲しい。

尚、QNAPの電源は、12V5.417Aで、付属のスイッチング電源で稼働している。これはこれだけの電力をリニア電源で作るのは非常に難しいからだ。しかし、微小なノイズはあても、上述のとおり無線ルーターで飛ばせば完全に無音となり、力強くメリハリのある音は健在なのでこれで良しとしている。


DAC
最後に、AsoyajiDACは、バッテリー駆動です。驚くほど静かなノイズレベルと、DACチップからのアナログ出力を、オペアンプを使わず、ファインメットコアのライントランスTLT-1010を使うことで、歪や劣化のないアナログを超えるアナログ信号を出力します。





2018年6月17日日曜日

TVC ー プリアンプ考

プリアンプの機能
プリアンプとは何だろう?その主な機能を列記してみた。

①電圧増幅機能:レコードは、音声信号が刻まれた溝の上を針が振動しながらトレースし、この振動を電気信号に変換する。この信号が非常に微弱なために、信号を増幅するアンプ(プリアンプ)が必須である。プリアンプの本来の役割はこの電圧増幅であある。

②フォノイコライザー:レコードは、低域を減衰させ高域を強調して記録されているので、再生時には逆にそれを戻す必要がある。それがフォノイコライザーで、レコードを聴くには必須の機能であり、独立機器もあるが、通常プリアンプに搭載される。

③ボリューム:オーディオシステム全体の音量調節は、プリアンプにおいて、その入力信号の電圧を上下させるのが一般的である。

④セレクター:入力機器のセレクター。

①②はレコード再生には必要な機能であるが、デジタル再生においては、上流からの出力電圧が高いので①は必須ではなく、②のフォノイコライザーは不要である。

デジタル時代の電圧増幅機能
①電圧増幅について、デジタル時代の上流の出力電圧は十分に高いので、レコード時代のように大きく増幅率を上げると逆にゲインが高くなりすぎて、ボリュームを1/3も上げられないといった弊害が生じることがある。

これを避けるために、プリアンプの出力段には抵抗でアッテネーターを組みゲインを下げる仕組みが入っているが、明らかに無駄である。

デジタル音源を再生するには、①電圧増幅はなくても全く問題なく、あっても1~3倍程度で十分だ。

トランスの電圧増幅機能
電圧を増幅するデバイスとして、真空管、トランジスタが最もよく使われるが、トランスにも電圧増幅機能がある。トランスは真空管やトランジスタと違い、電源や周辺回路が不要で、トランス一発で電圧増幅が可能である。

トランスは、1次巻き線と2次巻き線の比がそのまま増幅率となる。例えば、巻き線比が1:2であれば電圧は2倍に増幅される。ただし、巻き線比を大きくするとインピーダンスも巻き線比の2条に比例して増加するので、せいぜい1~3倍程度が良いと思われる。

ノイズ吸収や周波数特性に優れたファインメットコアのトランスを使えば、電源や様々なデバイスや回路が必要な真空管やトランジスタを使うより、はるかに、音質的には有利である。

デジタル時代のプリアンプ=TVC
デジタル時代にふさわしい電圧増幅器こそファインメットコアのトランスであり、このトランスとロータリースイッチを組み合わせたものがTVCだ。

冒頭の写真は、TVC(=トランス・ボリューム・コントローラー)に使うトランス達で、4つとも「さみず音響」寺本氏製造の特注トランス(ファインメットコア)である。

上の二つは「オートトランス」で、ライントランスからの信号を受けて、セイデンのロータリースイッチと組み合わせてトランスの巻き線比を変えることで信号の音量を変化させる(=ボリューム)。

オートトランスからは27本の中間線の端子が出ている。両端が全開で、これをセイデンのロータリースイッチで1つづつ切り替えることにより巻き線比を変更し音量をコントロールする。

通常の抵抗を使ったアッテネーターやボリュームとは異なり、1本の抵抗も使っていない。あくまでもトランスの巻き線比を変えることで信号電圧を変化させる。

更にノイズを吸収する特性も持つファインメットのコアを使うことで、上流からの信号を極力劣化させずパワーアンプへ繋ぐ。

下の二つはライントランス「TLT-1595wwjj」で、巻き線比が1:2.5と入力電圧が2.5倍になり、ちょうど良いプリアンプとなる。

プリアンプの最後の機能が入力信号のセレクターだ。これもセイデンのロータリースイッチを使う。

最高の音質の為に
レコード再生用に作られた従来型のプリアンプには、電源、様々な回路、抵抗やコンデンサやICなどのデバイスが信号線に対して直列で繋がれており、音声劣化の大きな要因になる。

それに比べて「TVC」は、一切の回路、デバイス、電源さえも使わない究極のデバイスである。ファインメットコアのライントランス一発でゲインを稼ぎ、ファインメットコアのオートトランスでボリュームをコントロールする「TVC」は、音質的に最も望ましく、劣化のない鮮度の高い信号がアンプへと送り込まれる。

TVCは、正にデジタル時代のプリアンプなのである。



ASOYAJIオーディオでは、従来型のプリアンプではなく、TVCを新しいデジタル時代のプリアンプとしてお勧めします。
ASOYAJIオーディオでは、「さみず音響」寺本氏と協力しTVCを製造販売していきます。


2018年6月15日金曜日

試作機が遅れています

試作機の製作が2か月ほど遅れており、それに伴い製品化も遅れています。販売は7月末もしくは8月初旬にずれ込むスケジュールになってしまいました。

初めて正式にデザインされたケースを製作するので、手直しもあり忙しい製造工場様との調整もあり、この2か月の遅れは正直痛いです。それでもいいものができるという期待感でいっぱいです。

皆様には、もうしばらくお待ちください。音質的にも、ビジュアル的にも素晴らしいDACが出来上がります。