2012年9月30日日曜日

改正著作権法 施行

10月1日から改正著作権法が施行され、いよいよDVD、SACDのリッピングが違法となる。もう一度お復習いをしておこう。 http://asoyaji.blogspot.jp/2012/06/blog-post_17.html

改正前の状況は以下の通り

(1) 著作物の複製権は著作権者にあるので、その許諾なしで勝手に複製することは禁止。
(2) ただし、私的利用が目的ならば、著作権者の許諾なしで複製してもいい。
(3) とはいうものの、私的利用であっても、技術的保護手段を回避して複製することは認めない。
(4) ただし、DVDやSACDのリッピングは、技術的保護手段には該当しないので、私的利用であれば違法とはならない。

今回の改正
(4) DVDやSACDのリッピングも、技術的保護手段の回避と見なされることになり、私的利用であっても違法となる。

すべて業界の思うがままだ。

元々技術的保護手段とはコピーガードのことだった。DVDやSACDの暗号化は、これをデコードする専用の機器がないと視聴できない仕組みで、コピーガードとは異なり技術的保護手段ではなかったのだ。それを今回、リッピングは許さないということで、私的利用であるにもかかわらず違法としたのだ。

CDを発売した当時は、リッピングなど考えられなかったので、当然に、CDの規格にコピーガード(技術的保護手段)は盛り込まれていない。そのためCDは今でもリッピングし放題であり、私的利用であれば違法とはならない。

業界は業を煮やしているが、今更、CD規格を変えるわけにもいかず、コピーコントロールなどの無理矢理のコピーガードを施したりしているが、再生出来ない機器があるなど弊害も多く一般的ではない。

そこで業界が捲土重来とばかりに繰り出してきたのが、DVD・SACDのリッピング禁止だ。業界は、CDにコピーガードが掛かってないから違法コピーや違法ダウンロードが蔓延しCDが売れなくなったと考えている。

しかしこれは笑止千万。

日本のCDが売れないのは、以下の問題があるからだ。

第1に、日本のCDの値段が高すぎる。日本では、新譜アルバムが2~3千円もするが、輸入盤は1,000円ほどだ。この違いはあまりに大きすぎる。

これは、日本のレコード会社が「再販売価格維持制度」(再販制度)で守られていて、小売業者は勝手に値引きしてCDを売ることが出来ないから起きる。法に守られて業界はぬくぬくと、消費者の意向を無視し、高い価格を維持している。

このご時世、余程の国策でない限り、法に守られている業界なんてあり得ない。なぜ、レコード業界が外国から保護されなければならないのか。まったく意味不明だ。

第2は、スターやヒット曲がないことだ。売れているのはジャニーズやAKBだけではお寒い限りだ。

第3は、「時限再販」だ。CDは発売後半年経過すれば、小売業者が自由に値引きできるようになる、これによりツタヤなどのレンタル店が躍進してきた。

第4は、ロングテール理論を実践したアマゾンだ。売れ筋だけでないあらゆる商品・中古品が揃っていて、自分の好きアーチストの昔のレコードや、店頭では絶対に置いてないCDが買える。中古品や個人出品者や海外の業者などが商品を出しており、値段も様々で安い。しかも、クリック一発で買えるので非常に便利だ。

第5は、膨大な中古市場だ。若い人は最近のヒット曲を聴くかもしれないが、多くの人々は昔懐かしい音楽も聴きたいと思っている。それらは今や膨大な数に上る。しかもそれをアマゾンなどで簡単に買うことができる。最近のヒット曲など聴いている暇がないほどなのだ。

第6は、デジタル化だ。そもそもCDはデジタルだ。デジタルの最大の特徴は、完全なコピーができることだ。この特徴を生かせるのがネットだ。ネット配信は、製造や流通のコストが掛からず安価に音楽を提供できる。しかも全世界に一斉に配信できるのだ。いつまでもCDという媒体に音楽を閉じ込めておくことは無理だろう。

第7は、CDやDVDやSACDは、業界が決めた規格だと言うことだ。規格=技術的保護手段であり、業界の決める技術的保護手段を回避してはならないというのなら、これは自作自演であり茶番だ。

業界は明らかに著作権法が認めている私的複製権を侵害し、消費者は、著作権法が認める私的に複製する権利を奪われてしまったのである。

以上だ。

この業界は、自分たちの生き残りの為に、法にしがみつき自分たちの都合の良いように規格や法を動かし、結果、消費者にそっぽを向かれても、自分たちの問題点に気がついていない。

一体いつまで時代遅れ薄汚れた古い利権に固執し自分勝手に生きていくのだろうか。リスクを恐れず新しいことに挑戦する先にしか成長はない。挑戦もせず法に守られ現状を生きながらえるだけでは、いずれ自滅することは明白なのだが。

4 件のコメント:

  1. だんだん厳しい世の中になっていくのですね
    自分で自分の首をしめてる感じがします・・・

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  2. yasさん
    なんだか軽はずみな改正だったような気がします。
    メーカーは目先の利益ではなくもっと将来を見据えてほしいと思いますね。

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  3. asoyajiさんに同感です。時代はメディアの多様化が進んでいるというのに、国内業界と団体は光学ディスク再生にユーザーを強要し、ユーザーの利便性を奪っています。その結果、海外の新興企業や新しい発想から生まれたビジネスにユーザーは流れ、国内企業はいよいよ窮地に立たされてゆくことになります。
    DSDのビジネスは今後米国の技術とサービスを軸に発展してゆくでしょう。
    今回の件で、一番被害を受けるのは一般ユーザー、その次が国内企業、そして一番利権を享受するのが海外企業でしょう。

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  4. selectaさん

    そのとおりですね。

    国内企業は、コンテンツ=CD,DVD,SACDと考えているようです。これらは単なる媒体であってコンテンツではありません。コンテンツは中のデジタルデータそのものであることに気がついていないのでしょうか。

    それともコンテンツをモノである媒体に閉じ込めて、高く売ることしか考えていないんでしょうか。実際に希少な媒体は、モノとして驚くほどの高値で取引されていますしね。

    コンテンツを媒体から解放して、沢山の人に安く提供しようとは思わないのでしょうかね。それが音楽業界の発展につながると思うのですが。

    国内企業はソニーと心中するつもりなんでしょうかね。

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