2011年4月9日土曜日

S氏のオーディオルーム


恐るべし!! S' Audio Room

あらゆるハードウエア、ソフトウエアの実力が白日の下に曝される!!!
誤魔化しは通用しない!!!
価格ではなく実力の世界!!!
本物だけが生き残るトラの穴!!!


S氏のオーディオルームは、ハードウエア、ソフトウエアの実力が如実に現れる。高級品であろうが、評判のものであろうが関係ない。良いか悪いかその実力が一瞬にして曝け出される恐ろしい世界だ。

S氏のシステムの概要は以下のとおりだ。

PC              自作
OS             ubuntu10.10
DDC           Xmos
DAC           中国製
アンプ        自作LM3886/6パラ
スピーカー  フルレンジ   自作/後面開放型ユニット(Yamaha_JA-3504B)
                  ツイーター   フィリップス リボンツィーターN49
                  ウーハー      自作/JSP方式 13インチユニット

S氏のオーディオルームは、天井が高く十分な空間容積がある。スピーカーは、部屋の真ん中あたりの左右に設置されている。音は、スピーカーユニットが鳴っているようには全く感じない。写真の青色と黄色で囲んだ、後方の広い空間で鳴っているように感じるのだ。ボーカルは、茶色の枠のあたり定位し上下左右に広がり、楽器は、楽曲に応じて周囲に定位する。

不思議な感覚だ。普通はスピーカーユニットと箱からの直接音と前面上下左右に広がる音を聴くものだが、ここの音は、前ではなく、スピーカーの後方の空間で鳴っているのだ。それは、まるでライブハウスで生演奏を聴いているような感覚で、実際にそこで演奏しているような臨場感を感じる。

通常のオーディオ愛好家に最も欠けているのは、この空間の音場ではないだろうか。通常のスピーカーでは、こうした後方の広い空間に音場を作ることは難しい。前方の空間でなく後方の空間に音場を作ることで、さらに部屋を大きく広く使うことができる点も違う。後方の大きな空間で鳴る音を聴いてしまうと、箱に押し込められた音が窮屈でどこかに無理があるように感じてしまう。

音は、後方空間に大きく広がっているが、決して粗くなったり甘くなったりはしていない。チューニングされた自作PCがノイズのない鮮度の高い音を送り出し、XMOSが美しさと解像度を高め、中国DACが滑らかで稠密な音声信号を作り出し、LM3886が美しく力強い音を作りだす。銀線が音を滑らかにした後、JA3504Bとリボンツイーターが、後方空間に音を散りばめるのだ。鮮度が高く敏感で生々しく、繊細かつ滑らかで解像度が高い、至高の音だ。

これだけの空間で音を出すと、音の粗は、あればすぐに分かってしまう。普段狭い6畳間で聴いているとわからない粗も、ここでは鮮明に分かってしまう。隠れるところがないのだ。

高級アンプであろうが、高級DACであろうが、評判のDDCであろうが、解像度が低ければその粗さが悲しいくらいに曝され、歪や甘さ澱みが手に取るように分かる。家では非常にいい音で鳴っていても、ここで聴くと解像度の低いくすんだ音だったということが何度もあった。

先日の、XMOSとUDIF7の対決もそうだった。信じられないことだが、家ではあんなにいい音だったUDIF7が、XMOSに比べると解像度が低くやや粗い音なのだ。また、ThinkPadのVoyadeMPDも全くさえない音だったことにショックを受けた。家では太くていい音なのだが、ここでは野暮ったく上品さに欠けた音になってしまう。PCの違いが音に現れているのだろうか。更に、WireWorldのウルトラバイオレットが、なんとも情けないしょぼくれた音だった。これにはほんとうに泣きそうになった。

このようにS氏のオーディオルームで試してみると、価格や評判とは関係のない本当の実力が分かる。それはある意味恐ろしいことだ。自分では非常にいい音だと思って大切にしていた機器やソフトが、一瞬のうちにそうでないとわかってしまうのだから。私は、ここでは惨敗に次ぐ惨敗だ。

ただし、ここで良いと判断されたものは本物といえる。アコリバのUSBケーブルは、ここでもその実力を遺憾なく発揮した。XMOSも最高の評価となった。中国の安いDACも並み居る高級DACを寄せ付けない。銀線スピーカーケーブルが音を非常に滑らかに美しくすることも分かった。安いリボンツイーターが後方空間への音の定位をよりしっかりとさせる。わずか13センチのユニットが高速で力強い低域をしっかりと押し出す。

S氏のシステムは、ほとんどが自作で、高級品を集めたものではない。様々な試行錯誤を繰り返し、本当に実力のあるものだけが残った歴戦の猛者なのだ。



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