2011年2月20日日曜日

YMAHA NSウーハーを使った自作後面開放型スピーカー

友人でオーディオの師匠であるS氏のメインスピーカーは、YAMAHAのNSスピーカーを使った自作後面開放型スピーカーだ。この音、一度聴いたらもう二度とコーン型に戻れないほど次元の違う音が鳴る。



ユニットではなく空間で音楽が鳴っている自然さに惹かれた。これぞ究極のスピーカーではないか。どうしても欲しくなり自作することにした。

まずは、NSスピーカーの確保だが、何せ40年近く前のスピーカーだから、簡単には入手できない。と思っていたところ、待ってましたと言わんばかりに「YMAHA NS-570」が絶妙なタイミングでヤフオクに出ている。競争相手もなく簡単に落札できた。ただし、落札額より送料のほうが高かったが(とほほ)。

NS-570
元々は白、下手な塗装で黒い

NSシリーズは、後面開放型が主流だが、NS-570とNS-550は密閉型で、しかも当時はめずらしいトールボーイだ。

外装をやり直してこのまま使ってもいいかもと思ったが、やはり箱の制約を受けない後面開放型の音が忘れられないし、外装も汚いのでこの箱は諦めることにした。中を開けると、外側とは違って、40年近い歳月がたっているとは思われないほど良い状態でほっとした。

中はとてもきれいだった
38cm×29cm(エッジ含む45cm×35cm)
密閉型に使われる為か、
エッジが幅広のスポンジになっている
状態も非常に良い
JA-3504B
マグネットは超異方性高性能磁石
最大エネルギー積は他のマグネットより25~50%は大きい

下の写真は、我が師匠の自作後面開放型スピーカーのサランネットを外した素顔だ。同じJA-3504Bを使用。下の部分は箱になっており13cmウーハーを仕込んである。JA-3504Bは枠に固定してあるだけで後面はない。これを作成する前の試作用のバッフルが残っているというので、それを使わせていただくことになった。

師匠の自作JA-3504B後面開放型スピーカー

下の写真は、師匠の試作用バッフルに、NS-570から取り出したJA-3504Bを取り付けた私のスピーカー。師匠のものとそっくりだが、下部にウーハーはない。そもそもNSスピーカーは、ウーハーだから低音もしっかりと出るので、小さな部屋では追加のウーハーは必要ない。

私の自作JA-3504B後面開放型スピーカー

もう少し離したいが部屋が狭くこれで精一杯
流石にサランネットがあったほうがよさそう
聴いたことがないほど素晴らしい音だ。ユニットから音が出ていることを全く感じない。音がスピーカーの周りの空間から出てくる感じで、非常に生々しい。低音も驚くほど出ている。朗々と太く鮮明でまさにそこで歌い演奏しているようなライブ感に溢れた音だ。

全ての音が生きており、ナチュラルそのもので、痩せたところ、破綻したところ、きついところ、嫌味なところが一切なく何時までも飽きることなく聴いていたいと感じ、体中が幸福感に包まれる。

丸いコーン型スピーカーの美しいが箱に制約された音とはまるで違うのだ。あらゆる制約から解放され、空間に自由に伸び伸びと広がる自然な音。あらゆる音がエネルギーを失なわずに空間を満たす。そしてその空間の中で、人が歌いドラムが鳴りベースが弾ける。あらゆる楽曲が力強く美しく生々しく蘇る。

この音を聴いてしまうと、コーン型スピーカーが如何に雑みや歪んだ音であるかを思い知らされる。常に何かが足りずどこかが破綻し満足できない音だ。あれこれ策を凝らしても、もぐら叩きのようなもので、捏ね繰り回しているだけで、結局は不満が残る。

これほどの音はかつて聴いたことがない。なぜこれほどのスピーカーが僅か3年で廃れてしまったのだろうか。スピーカーに求められる全てを兼ね備えた完璧なスピーカー。これこそがほんとうのスピーカー。

発売から38年後に初めて出会った幸運に感謝。師匠、こんなスピーカーを教えてくれてありがとうございます。

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