2011年3月16日水曜日

福島原発

今回の大地震のマグニチュードは9.0で、阪神大震災の7.3の1450倍のエネルギーだったらしい。国内観測史上最大の地震だったのだ。死者行方不明者の数は1万人を超え、避難の方々は40万人近くに上っている。

関東大震災を上回る大惨事であるが、更に追い討ちをかけるように、福島第一原発が危険な状態に陥っている。

発電の自動停止までは良かったが、そこから先が信じられないことの連続だ。原子炉を冷却するための水を循環させるポンプやその他様々な制御をするための機器が全く作動しなかった。原因は、それらの機器を稼働させるための電源装置が全て破損した為なのだという。

炉心は何千度という熱を持っているので、冷やすことができないと、炉心が溶融(メルトダウン)し燃料棒が炉外に飛び出し、大量に放射能が放出される可能性がある。

素人考えで不安に思うのは、メルトダウンで制御棒が外れ燃料棒がいくつも折り重なり接近すれば、再び臨界に達し核爆発という最悪の事態が起こる可能性はないのだろうかということだ。こればかりは杞憂であってほしい。

すでに放射能は漏れている。今は、30km離れれば安全と言っているが、メルトダウンや核爆発が起きれば桁違いの放射能が放出される。どれほど悲惨な事態になるのか、考えただけでも恐ろしい。

とにかく冷やすしかないらしい。今は、海水を注入しているそうだが、余りに高音過ぎて、水を入れても瞬間に蒸発してしまい、炉内に十分な水を貯めることができない。

水蒸気を抜く弁が開かないトラブルもあったり、炉内が水蒸気で高圧となり水を入れることも難しい状況の中で、作業員の方々は生命への危険を知りながらも使命感と責任感を持って大変な困難に立ち向かっているのだろう。

電力会社が原発対応のため社員の志願を募集したとのこと。誰も命の危険すらある現場になど行きたくないに決まっている。社員の皆さんには頭が下がる思いだ。

本来なら【社長】が率先して現場に立って陣頭指揮をするべきではないか。それが「原発は安全だ」と言い続けてきた電力会社トップの責任ではないだろうか。社長が安全な場所でぬくぬくしているようでは現場の作業員の方々の士気が上がるはずもない。

想定外だったなどという言葉は聞きたくない。考えてみれば、そもそも天災の規模など想定できるものではなかったのだ。人間が自然災害を想定しコントロールできると思ったとすれば、思い上がりもいいところだったのかもしれない。

実際に福島第一原発については、1972年に米国原子力規制当局の専門家が「燃料の冷却に失敗した場合、容器が破裂し放射能漏れが起きる危険性が高い」「許容しがたい危険性があり廃止すべきだ」との指摘があったと北陸中日新聞2011.3.17に紹介されている。

問題の原子炉はGE(ゼネラルエレクトリック社)が開発した「マーク1」と呼ばれる原子炉で、福島第一でも1~5号機に使われている。今まさに、指摘通りの事態が起きている。

こうした専門家の声を無視し「絶対に安全」と偽り開発を進めてきた国や東電の責任は重い。これで他の原子炉の安全も信用できなくなった。今後、我が国のエネルギー政策は大転換を図る必要に迫られよう。

今回、自然の前には人間の力が如何に小さいものかということを思い知らされた。「絶対に安全」との慢心が生んだ原子力発電所で、今まさに放射能漏洩が始まっている。

つい先日までは、従順に人間にコントロールされていた原子力が、今、真っ赤な牙を剥いて人間の手から逃れ出ようと必死にもがいている。まさに人間と自然の決死の闘いだ。

この戦いに勝ったとき、人間は更なる英知を結集してこの怪物を閉じ込めコントロールできると考えるだろう。

しかし、負けたとき、どれほどの多くの人々が悲しみに打ちひしがれるのであろうか。

心から原発作業員の方々の最大限のご健闘とご無事をお祈りいたします。


こんなサイトがありました。
http://mphoto.sblo.jp/

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