「最先端の24bit/192kHz対応」と宣伝しているが実はSPDIFということがよくある。SPDIFは確かに24bit/192kHz対応だ。しかしSPDIFではだめなのだ。SPDIFで受けるには、PC側にSPDIFの出力装置つまり別途オーディオカードが必要となる。これでは、何の為のUSBオーディオか分らない。紛らわしい上に、USB出力と勘違いして買ってしまう消費者もいることであろう。メーカーの姿勢を疑ってしまう。
最先端の24bit/192kHz対応(SPDIF)などの宣伝文句を前面に出している製品の多くは、USB入力に、安価なICチップ(バーブラウンのPCM270xシリーズ(最大24bit/96kHz)など)を利用しているケースが多い。これは、自社にUSB転送技術がないので、安直にICチップに頼っているのだと思われる。
USBで24bit/192kHzの音楽信号を受けるには、まず、480Mbps(High Speed)に対応する必要があり、現時点ではWindowsの標準USBドライバーでは動作しない、そのため独自にドライバーを開発しなければならない。
また、アイソクロナス転送方式のアシンクモードに対応することで、大幅にジッターを低減できる為、ICチップに頼らず独自にFPGA(プログラム可能なICチップ)をプログラミングし、そのファームウエアを提供しているメーカーもある。
このように、最先端のUSB転送に対応するには、こうしたUSBの転送技術とソフトウエアの開発能力が必要になる。ラトックのようなPC周辺メーカーであれば技術の蓄積もあろうが、そうでない既存のオーディオメーカーには難易度は高いのかもしれない。従って、安易なICチップに頼り誤魔化しのような(SPDIFでの)24bit/192kHzを声高に宣伝してしまうのであろう。
満を持してUSB DACを発売したLUXMANの「DA-200」も、ESOTERICの「D-07」も、PHASE TECHの「HD-7A」も、USBは24bit/96kHzだ。
LUXMAN DA-200 |
ESOTERIC D-07 |
一方、海外メーカーは積極的だ。欧州はもちろん中国メーカーですら、とっくにFPGAを使って24bit/192kHzに対応している。
そんな中、イタリアのNorthstar Designの最新DAC「Essensio」は素晴らしい。USBで32bit/192kHz対応だ。上位機種「USB dac32」の技術をほぼそのまま生かし、小型化と低価格化を実現している。\157,500は手ごろだ。デザインも高級感あふれる。
Northstar Design Essensio |
Ayre QB-9(192バージョン) |
そうした中、ようやくラトックが、12月上旬に24bit/192kHzのUSB DAC/DDC「RAL24192UT1」を発売すると発表した。見た目は前モデルで24bit/96kHzの「RAL2496UT1」とほとんど同じ。
RAL24192UT1 |
RAL24192UT1(裏) |
数万円程度の機器なら買い替えれば済むが、数十万円もする機器は簡単に買い替えなどできない。だから、できる限り無駄な買い物をしないように、なるべく24bit/192kHz対応のDACまたはDDCを買うべきだ。
ただし、24bit/192kHz対応のDDCまたはオーディオインターフェースを購入すれば、DACにUSB入力は必要なくなるので、192kHz対応のDACである必要はなく選択肢は広がる。
0 件のコメント:
コメントを投稿