必然的というか運命的というか、デジタルを扱うPCとCDが合体し「PC音楽」が出現した。
CDの音楽データを、パソコンのCDドライブからダイレクトにリッピングして、WAVファイル形式でパソコンに保存する。出来上がった音楽データファイルをWINAMPのようなソフトウエアプレーヤーで管理・再生し、クリエイティブのサウンドカードから出力、外部のアンプ+スピーカーに接続して聴く。これがPC音楽だ。
しかし、WAVファイルの容量は1楽曲で30~50MBにもなり、当時のHDD容量では何百・何千の楽曲をWAVファイルとして保存することは不可能で、WAVファイルを圧縮する技術が考えられた。
圧縮方式はいろいろあったが、MP3がその圧縮率と音質で圧倒的な人気を博した。MP3のエンコーダーではLAME(LAME Ain't an MP3 Encoder)が評判だった。MP3で圧縮するとファイルの容量はWAVの10分の1~5ほどに小さくなった。
PC音楽は画期的だ。いちいちCDをケースから取り出したりしまったりすることなく、「ジュークボックス」のように、どんな曲でもクリック一つで瞬時に鳴らすことができる。
PCの「マイ・ジュークボックス」は、ラジカセ時代に見た私の長年の夢の実現であり、これ以降、音楽はCDプレーヤーではなくPCで聴くことになった。
しかしMP3はCDの音から16KHz以上の高音域をカットする為、音質はCDより落ちる。データをカットしないコーディックはないものかと、いろいろ探しているうちに「可逆圧縮」に辿り着いた。
「可逆圧縮」は圧縮率は1/3~1/2程度と高くはないが、MP3のようにデータはカットせず、しかも、元のWAVファイルに復元可能な圧縮形式である。そして最大のメリットは、MP3と同様に音楽情報を埋め込めることだった。WAVではこれができないので致命的だ。最初はAPEを使っていたが、今はFLACを使っている。音質はWAVと全く変わらない高音質である。
昨日PCショップで2TBのHDDが1万円以下で売られているのを見た。これだけの容量があれば、もはやWAVファイルを圧縮する必要はないだろう。しかし、それでも曲の情報を埋め込めないWAVファイルは使う気になれない。世界を席巻しているiTunesやiPodも、FLACを再生できないから使わない。やはりこれからもFLACだ。
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