Watzのプリアンプがとてもいい音だったので、部品などを総入れ替えして作り直したものが更にいい音になった。デジタルだけでも解像度も高く美しい音がだせるのだが、真空管が入ると、圧倒的に音に色と艶と厚みが付く。そこで、真空管に真剣に取り組んでみることにした。
最初に電圧増幅回路の設計だ。
まず最初に、真空管を選ばないと始まらない。そこで、Watzで使った12AU7を使ってみることにした。
12AU7のメーカーの推奨値は以下のとおり
データシート 実測
Eh ヒーター電圧 6.3V×0.3A
Eb 電源電圧(プレート電圧) 250V 110V
Eg バイアス -8.5V -4.0V
Rk カソードバイアス抵抗 ― ―
Ib プレート電流 10.5mA 3mA
gm 相互コンダクタンス 2.2 1.85
rp 内部抵抗 7.7KΩ 10KΩ
μ 増幅率 17 18.5
*実測は「情熱の真空管アンプ」(木村哲)の巻末データより
12AU7のEp-Ip特性(プレート特性) *GEのデータシートより
メーカーの推奨値を使えば簡単に設計できるそうだが、電源電圧が250Vでプレート電流が10.5mAとかなり大きい。Watzの回路だとプレート電圧はもっと小さい感じがする。よくわからないので、特性図を使って自分で回路を設計してみることにする。
Ebb(電源電圧)
Rp(負荷抵抗) プレートに電圧を与える。負荷抵抗と電源電圧でロードラインを引き動作点を決める。
Rk(カソード抵抗) カソードに電圧を発生させる。自己バイアス方式の時、グリッド電圧は0Vなので、カソード電圧に対し、相対的にグリッド電圧が同じ値マイナスとなる。
Rg(グリッドリーク抵抗) 自己バイアス方式で、グリッドの電位を0Vにするためにグリッドをアースに接続するためのもの。
まず最初に電源電圧を300Vに決める。
Rp(負荷抵抗) プレートに電圧を与える。負荷抵抗と電源電圧でロードラインを引き動作点を決める。
Rk(カソード抵抗) カソードに電圧を発生させる。自己バイアス方式の時、グリッド電圧は0Vなので、カソード電圧に対し、相対的にグリッド電圧が同じ値マイナスとなる。
Rg(グリッドリーク抵抗) 自己バイアス方式で、グリッドの電位を0Vにするためにグリッドをアースに接続するためのもの。
まず最初に電源電圧を300Vに決める。
プレート負荷抵抗を100KΩとする。
この時の最大プレート電流は 300V÷100KΩ=3mA
プレート特性図に、このロードラインを書き込む。
バイアス電圧を-4Vに決める。
これで動作点のプレート電圧は95V、プレート電流は2mAとなる。
この時、カソード電圧を4Vにするためのカソード抵抗は、-4V÷2mA=2kΩ
この増幅回路の入力インピーダンスはグリッドリーク抵抗の値そのものになる。グリッドリーク抵抗が小さいと入力に電流が流れてしまうので、大きくしなければならない。しかし大きすぎると、プレートからグリッドに電流が流れバイアスが不安定になり、真空管が熱暴走してしまうらしい。
そこで、データシートの最大値1MΩの半分の500KΩとする。
なお、直流域では、負荷抵抗は100KΩであるが、交流域での負荷抵抗は、100kΩと500kΩのパラ抵抗値で83kΩとなる。
次段のグリッドリーク抵抗は、直流と交流の負荷抵抗値が大きく違わないように設定する。
ゲインの計算をするため、交流のロードラインを引く
Ep=95V+(2mA×82.5KΩ)=260V
Ip=260V÷82.5V=3.15mA
入力信号がバイアスを中心に±2V振れたとすると、出力電圧は67V~121Vで54V振れる。
よってゲインは 54÷4=13.5倍となる
これで、とりあえず初段が完成!次は、次段だ。ただし、先に次段を設計してから初段を設計しないと初段の値が決まらないようだ。次段が決まったら初段はやり直すことにする。
Ep=95V+(2mA×82.5KΩ)=260V
Ip=260V÷82.5V=3.15mA
入力信号がバイアスを中心に±2V振れたとすると、出力電圧は67V~121Vで54V振れる。
よってゲインは 54÷4=13.5倍となる
これで、とりあえず初段が完成!次は、次段だ。ただし、先に次段を設計してから初段を設計しないと初段の値が決まらないようだ。次段が決まったら初段はやり直すことにする。
ところで、Watzの回路を見ると、グリッドリーク抵抗がない。その代わりに100KΩのボリュームが入っているがこれがグリッドリーク抵抗の代わりなのだろうか。
やはり突き進んでおられますね〜
返信削除asoyajiさんらしい!?
今頃になって、オーディオの基礎(真空管)をやっています。50の手習いでお恥ずかしい限りです。
返信削除>100KΩのボリュームが入っているがこれがグリッドリーク抵抗
返信削除そうです。
もし、そこから直で入力側RCAジャックにつながっているとすると
少し手を抜いた設計です(笑)
理由はそのグリッド抵抗は入力側の機器から見れば負荷抵抗になるからです。
余ほどしっかりした送り出しアンプが入力側の機器に入っていないと
ボリュウム位置で音が変わります。
匿名さん
削除やはりボリュームがグリッドリーク抵抗なんですね。
ありがとうございました。疑問が一つ解決しました。