しばらく書き込みしておらず随分と日が空いてしまった。
思えば昨年6月にSACDをデジタルで聴きたいと思い立ってから9か月。自作素人が猛特訓をして半田付けを習得し、電源を自作し、DSD-DACを自作し、デュアルモノ化を実現し、ついにDSDネイティブ再生を実現できた。
昨年7月20日「SACDリッピング成功!」へのアクセスが未だに1日1,000ビューは下らない状況が続いているのは、DSDに対する世間の並々ならぬ関心の高さゆえであろう。
DSDの音は、まずは、音の空間感がPCMと比べて格段に違う。特に前後に広がる空間感はPCMではなかなか表現できないものだ。次に、音が非常に緻密で解像度が高い。ただしPCMやLPのような強調された感じがなくそういった意味で、元の音源に近い音なのではないかと思わせる。
PCMやLPの音はインパクトがあって素晴らしくいい音なのだが、ある部分が強調されて良い音に聴こえるように作られており、この強調された部分に耳がいってしまい、その後ろにある音がよく聴きとれなかったり、隠されたり、喪失してしまったりしている。
DSDは、PCMやLPのような意識的に作られたところがなく、すべての音が余すところなく出てきている感じがする。空間感もあり解像度も高いので、ストレスなく気持ちよく聴くことができるのである。DSDはボリュームを上げてもキツく感じたり音が割れることがないので、ついついボリュームを上げてしまう。
いいところづくめのDSDであるが、DSDを再生できる製品は、まだほとんどない。そもそもDSD音源がほとんどないし、あってもこれを再生できるソフトウエアプレーヤーがない。PCからDACへの転送方式すら標準化されていないのだから当然なのだが。
こうした中、dcs社が、DSDのUSB転送方式の世界標準を目指して動き始めた。176kHzのWaveファイルにDSDを忍ばせて、PCMに誤魔化してUSB上をDACまで転送するというもので、dcs方式と呼ばれている。
dcs方式でDSDを再生するには、dcs方式に対応したソフトウエアプレーヤー、dsc方式に対応したUSB-DDC(もしくはUSB-DAC)が必要だ。
なお、DACはdcs方式は関係ないが、DSDを再生できるチップ(ES9018、FN-1242、DSD-1974など)を搭載したものでなければならない。
この数ヶ月で、Fooobar2000、JRMC、HQplayerなどのソフトウエアプレーヤーが次々とdcs方式に対応し、DDCはXMOSがdcs対応ファームウエアをアップした。製品DACではDebussy DAC(dcs社)($11,000)、Mytek Stereo192-DSD ($1,695)、Playback Designs MPD-3 DAC ($6,500)などが販売されている。
dcs方式の原理は簡単だから、ソフトウエアの変更もそれほど難しくはなく、DDCなどハードウエアついても改造は全く不要で、ファームウエアをdcs対応用に変更するだけで使える。逆に言えば、ファームウエアが搭載されていないDDCは使えないということになのだが。
まあ、ここにきてDSDに対する関心が急速に高まって来ているようだから、今年中には、DSDを再生できる環境が当たり前になっているかもしれない。
そこで問題になるのは、やはりDSDの音源だろう。聴きたい楽曲がなければ普及しようもない。SACDリッピングに対してはソニーが躍起になってCFWのダウンロード先のモグラたたきをしているようだ。リンクの先にFBIが出てくる脅し付だ。
しかし、ほんとうにそれでいいのだろうか。自ら将来の成功を潰す愚挙ではないのか。アップルに立ち向かう気概はもうないのだろうか。
DSDこそが不振を極める音楽業界を救う奇貨になる可能性が非常に高いと思うのだが。
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