4499は、旭化成史上最高のDACチップです。
私見ですが、デジタル音楽は、どうしてもアナログの中域音の太さや芯のある力強さを表現しきれず、まだまだアナログを超えられないという感覚がありました。
しかし、AK4499の音は、低域、中域、高域と全帯域で、テープで聴くボーカルのように力強く芯と太さがあり、SNは圧倒的にデジタルなので、ある意味アナログを超えたと言えるかもしれません。
音質的には群を抜いていると感じますが、大電流出力なので、オペアンプの選定が大変で(ディスクリートが主流かも)、発熱対策も含めてIV変換部の製作レベルは一段高くなったと言えそうです。
あまり書かれていませんが、これまでのDACチップではDSDを停止しPCMを再生する時、ブチッというクリック音が出ました。AK4497までは、このクリック音に悩まされていたのです。DSDを聴かない、DSDをPCMに変換して聴くという人もいました。
クリック音の一般的な対策法に、DDCレベルで信号の変わり目にミュート信号を出力し、これをアナログ段のミュート基板で受けて信号をミュートするという手法があります。
しかしミュート時間をどれくらいに設定するかで、クリック音は消えるけど曲頭が切れるなどの弊害もあり、DACの外部で対処するには限界がありました。大手メーカーではDACチップを使わないディスクリートにすることでクリック音を消しています。
本来はDACチップの内部で対処しクリック音を出さないのが正しいのです。
DACチップは本来PCMをアナログに変換するのが仕事でしたが、いつの間にかPCMとは全く異なるフォーマとのDSDが出現してきました。
DSDはLPFだけでアナログ変換できるので、Δ∑モジュールを搭載しDACでは、DSDを後段のLPFに通すだけで簡単に扱えます。
DSDは特別な処置が不要なおまけのようなフォーマットだったのです。それで、PCMでは完璧に処理されたクリック音対策が、DSDでは取られなかったのかもしれません。
それが、AK4499では、ついにDSDからPCMへの切り替えノイズを消す仕組みが組み込まれました。旭化成さんが本気で取り組んれくれたのです。これでAKでもクリック音を気にせずDSDを楽しむことができるようになりました。
4499に追い越された感のある4497ですが、4499ほどの力強さはありませんが、明るく前に出てくる艶のある音です。バイオリンやサックスやボーカルなどは本当にたまりません。好きなDACです。まだまだやれます。
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